溝田 友里/国立がん研究センター【サミット2019登壇者紹介】

コメンテーター

溝田友里(みぞた・ゆり)

国立がん研究センター がん対策情報センター 健康増進科学研究室 室長

登壇セッション

略歴

東京大学大学院医学系研究科にて2007年に保健学博士号を取得。東京大学社会科学研究所、国立がん研究センターリサーチレジデント、研究員を経て、2013年より現職。
健康社会学、健康教育学の専門を活かし、行動科学やナッジ、ソーシャルマーケティングを活用したがん検診受診勧奨および健康行動の実践等に関する普及実装研究を実施している(「希望の虹プロジェクト https://rokproject.jp/kenshin/」)。2018年9月にはNHK「ガッテン!」に連動し、放送日に合わせて全国360市区町村86万人にがん検診受診案内を送付する受診勧奨企画を実施し、「NHK 第一制作センター長賞」を受賞した。
その他、2007年より、食事や身体活動など生活習慣ががんサバイバーの予後に与える影響を調べるための世界最大のがん患者コホート研究を共同代表者として運営しており(http://rok.ncc.go.jp/)、3ヶ国5コホートによる乳がん患者コホート国際コンソーシアムおよび5ヶ国6コホートによる大腸がん患者の国際コンソーシアムに日本唯一の全国患者コホートとして参加している。
また、10万人以上の医学研究者が登録する日本最大の臨床研究教育e-learningサイトICRweb(https://www.icrweb.jp/)の運営なども行っている。

サミット2019の演者紹介

あらゆる組織に必要とされるマーケティング発想―病院における実践とは?

マーケティングは難しいもの、自分とは関係ない仕事、と思われている方も多いのではないでしょうか。しかし、市場の成熟化が進む現代の日本では、あらゆる組織にマーケティング的思考が必要とされています。もちろん病院・医療機関も例外ではありません。そこで本講演ではマーケティングの理論や、フレームワークを解説するのではなく、マーケティング的な思考、そのエッセンスを皆さんが体感できるような内容を予定しています。地域の方に愛され、そして患者さんに選ばれる。ブランド力を持った病院経営、そのマーケティング、ブランディングのアプローチをお話しします。

資格

学会活動・受賞歴

第62回日本病院学会 優秀演題、2012
第51回全国自治体病院学会 管理分科会推薦優秀演題、2013

主な業績

自治体病院における事務経営部門改革の試みとその成果 日本病院会雑誌 59(11・12)1224-1227、2012
経営改革初期段階に行ったフラット型組織改革の成果 全国自治体病院協議会雑誌 52(3)306-308、2013
アンケートが現場を変える-短期集中型業務改善
第1回 新築移転への不安         病院 72(4):302-304、2013
第2回 アンケートのねらい        病院 72(5):399-401、2013
第3回 改善を望む声           病院 72(6):484-485、2013
第4回 業務改善策の作成         病院 72(7):573-575、2013
第5回 医師部門に与えたインパクト    病院 72(8):652-654、2013
第6回 病院改革はアンケートから始まった  病院 75(9):725-727、2013
目的達成型委員会を用いた業務改善推進~中小自治体病院の取り組み~ 全日本病院会雑誌 26(1)60-62、2015
平成29年度 自治体立優良病院総務大臣賞を受賞して 全国自治体病院協議会雑誌 56(9):1398-1402、2017
シンポジウム 育てよう病院総合医 ―日本病院会認定病院総合医― 病院総合医の必要性 ~中小自治体病院の経営改革より~ 日本病院会雑誌 65(11):1320-1345、2018

参加者へのメッセージ

今年の「骨太の方針2019」には「2040年に向けて人材不足等のあらたかな課題に対応するため、地域医療構想の実現に向けた取組、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革を三位一体で推進し、総合的な医療提供体制改革を実施する」と記述されました。
人口の推移、人口構成の変化はいわば「確実に予測できる将来」です。その大きなトレンドの中で、医療の需要と供給も見通していかなければなりません。医療政策も、客観的・標準的な手法での将来の需要見通しを示しつつ、地域での変革を促していく方法をとってきています。
2025年は団塊の世代が後期高齢者になりきる、政策の目標年。増大する医療介護需要にどう対応していくかが大きな課題です。
しかし、それを乗り切ったとしても、次のトレンドに立ち向かう必要があります。人口減少局面では、需要の増加より、供給力(マンパワー)の減少への対応が最重要課題です。高齢者数が最大となる2042年。次の政策のターゲット・イヤーに向けて、何を準備すべきなのか、今までにない発想も必要となります。
遠い将来と思っていても、気づけばすぐそこの2040年。良質な医療を皆保険で国民に保障し続けられるため何ができるか、何を準備しておくべきか、今回の話題提供が、みなさんの議論に資するものとなれば幸いです。